門日泰明の運転技術には定評がある。前の前の車の動向に注意するといった
徹底した予測運転てゆとりの走行には同乗者からの信頼は厚い。
その彼が乗ってきた車はというと、現在まですべて中古車を愛用してきた。
なるべ〈質素を旨としている門田は、日本の自動車の技術レベルからすれはき
ちんとした整備さえしてあれは、何も新車を買う必要はない、という考えであるC
ところが、法律で義務付けられた整備点検をきちんと受けていたにもかかわ
らず、ここ一、二年の問に三回もの大きなJラフルに見舞われた。最初は中央
自動車道の笹子トンネル内での突然の工ンジ・ンストップ。二度自は、東名高速
日本坂トンネル直前でのこれまた不意のエンジン停止、そして三度自は、サイ
ドブレーキ不良によるあわやの谷底転落の危機。これらはすべて彼の機転と運
動神経で切り抜けてきたが、やはり中古車に対する門田の信頼感は急激に薄ら
いだようだ。
「黒豹全集」仝首巻という壮大な仕事に向かって前進を続けている門幻泰明。
その大事な体のためにも、少々高〈てもちょっとやそっとではぴ〈ともしない
頑丈な新車に乗り換えて周囲の人間を安心させてはしいと思う。