港区南麻布にある古い国有ビル。内部はハイテクを駆使した黒木の新しいオフィスだ。ある日パラボラアンテナが月からの謎の電波を受信した。
門田泰明は、この作品の構想と調査と執筆に約四年を費やした。純文学の修
業を積んできた著者は、物語をだらしなく長く続ける−」とを、本来ひどく嫌う
作家である。つまり短編小説を好んで書こうとするひとりなのだ。大長編とか
大河小説とかいったものに対して、日頃からきわめて厳しい態度を見せる彼は、
「黒豹スペースコンバット」を、せめて上下巻くらいで終わらせようと苦心した
らしい。
だが結果的には一六〇〇枚の大長編となってしまった。そのせいか脱稿直後
の作者の機嫌は、あまり良くなかった。
しかし読者は、−」の作品に描かれている黒木豹介と高浜沙霧の強烈なパワー
に度肝を抜かれることだろう。この作品はクだらしなく長くなった♂のではなく、
成るべくして大長編となった黒豹シリーズの金字塔とも言うべき作品である。
まさしく第一級のダイナマイト・サスペンスといえよう。