黒豹皆殺し
	伊豆の無人島で、悲惨な大事件が発生した。２２名の人間と２００頭の野生のヤギがいずれも異常な内出血と炎症を起こして死亡した。黒木豹介は法相・倉脇の特命を受け、極秘裏に調査のため現地に向かった・・・。米ソの陰謀、そしてCIA、KGBをも巻き込んで、”黒豹”黒木が阿修羅と化した！ 海に男のロマンを抱く著者は、美しい無人島で生活することを夢見ている。事件の発端は、そんな著者が夢見る無人島とは全く掛け離れた、恐るべき謎に満ちた小島から始まる。
	”黒豹”の素顔 　門田泰明の思索の場所は、書斎に限らない。 　彼は急に思い立って、取材旅行に発つことがある。それは、執筆半ばで 再度現地の空気に触れたいという追加取材が目的だが、他にもう一つの理 由がある。 内外のあらゆる分野の資料が櫛比している書斎のはば全壁を占める書架、 原稿の送信に校正ゲラの受信にとフルタイムで作動するファクシミリ、編 集者からの打ち合わせや原稿催促で鳴る電話機……、その他、彼の積極的 な執筆環境のためにある全てのものが、彼には突然疎ましく感じられてし まうことがある。 　そんな時、ただじっと座っているだけで、周りの景色が流れるように変 化して行き、決まった時間には目的地に運んでくれる列車は、彼が新たな 気分で作品の構想を練るにはうってつけのもう一つの書斎になるのである。
取材のため、松本に向かう特急「あずさ」の車中で。 本全集に全精力を注ぐ著者は、車中でも次作の構想を練る。